白血病の原因はいまだにはっきりしていません。ただ、複数の遺伝子の異常によって引き起こされると言われており、それを発見・解明するための研究が進んでいます。
白血病に関わっている遺伝子やそのはたらきが分かれば、遺伝子治療や分子標的薬などによる原因を直接狙った治療につながる可能性があります。また、早期の診断にも活用できます。
遺伝子とか正直よく分からないので、いくつかのニュースをまとめて紹介します。
骨髄異形成症候群の白血病化に関わる遺伝子異常発見
京都大学は名古屋大学、東京大学と共同で、血液がんの一種である「骨髄異形成症候群」が悪化して急性骨髄性白血病に移行する原因となる遺伝子を突き止めた。遺伝子「SETBP1」の変異が症状の悪化に関与していた。
-白血病に移行する原因遺伝子を特定、京都大など :日本経済新聞(2013年7月8日)
高速の遺伝子解析装置などを使い、急性骨髄性白血病に悪化した患者のがん細胞を調べた。16.8%の患者でSETBP1の変異を確認した。骨髄異形成症候群を経ないで急性骨髄性白血病になった患者は1%以下しか変異が見つからなかった。16.8%というのは微妙な気もするのですが。。早期診断の一つの指標としては使えそうですね。
私もMDSからAMLに移行したわけですが、自分のSETBP1はどうなのかちょっと気になります。
また、このSETBP1とJAK3という遺伝子が、若年性骨髄単球性白血病の原因遺伝子として発見されたということも、同時に伝えられています。
※参照ページ
- 白血病に移行する原因遺伝子を特定、京都大など :日本経済新聞
- 若年性骨髄単球性白血病の新規原因遺伝子を発見-若年性骨髄単球性白血病の診断・治療法の開発と、病態の多様性解明に期待- — 京都大学
- 骨髄異形成症候群(血液がんの一種)の白血病化の原因遺伝子異常を発見-骨髄異形成症候群などの血液がんの大規模遺伝子解析を実施- — 京都大学
- 名古屋大学プレスリリース(PDF)
急性骨髄性白血病の発症を促す遺伝子特定
血液のがんである急性骨髄性白血病が、血液の細胞内で特定の遺伝子の働きが活発化することで発症する仕組みを、三重大大学院医学系研究科の野阪哲哉教授(52)、小埜良一講師(42)らの研究グループが解明した。米国血液学会の専門誌電子版に発表した。
研究グループは、全ての血液細胞のもとになり、赤血球や血小板などに変化する「造血幹細胞」に着目。白血病になったマウスを使い、この細胞中の「PLZF遺伝子」の働きを2~3割程度に抑えると、生存期間が6~8日延びた。
-つなごう医療 中日メディカルサイト | 急性骨髄性白血病 発症促す遺伝子を特定(2013年7月19日)
白血病細胞の分化異常を修復するRNAを発見
JST 課題達成型基礎研究の一環として、東海大学 医学部の幸谷 愛(コウタニ アイ) 准教授は、奥山 一生 研究員とともに、急性白血病細胞の分化異常を修復するRNAを発見し、白血病細胞を正常化させる可能性を示しました。白血病の原因は、遺伝子の異常により、細胞増殖に関わる遺伝子群と、細胞の分化(段階を経て各種の細胞に変化すること)に関わる遺伝子群の両方の制御ができなくなることで発症すると考えられています。
-白血病細胞の異常を修復するRNAの発見(2013年7月23日)
非コードRNAの一種であるmiR-126というものを使うと、分化の異常を回復することができたという内容です。
遺伝子の関連分野ということでRNAのニュースも入れてみました。記事の中身を見ると、難しそうな単語がいっぱい並んでます。日本語でおk。
※参照ページ
コヒーシン遺伝子の変異が発症に関与することを発見
京都大学(京大)は8月19日、造血細胞ががん化することで正常な血液細胞を作ることができなくなり、感染症、貧血、出血といった症状を生じる難治性の血液がんの1つである「骨髄異形成症候群(MDS)」や「急性骨髄性白血病(AML)」のゲノム解析を行った結果、細胞分裂や遺伝子の転写調節において重要な働きを有するタンパク質複合体「コヒーシン」を構成する遺伝子の変異が、MDSやAML、「慢性骨髄単球性白血病(CMML)」、「慢性骨髄性白血病(CML)」などの「骨髄系腫瘍」に分類される血液がんで高頻度に認められることを解明したと発表した。
-京大など、骨髄性白血病などの血液がんの原因となる遺伝子異常を発見 | マイナビニュース(2013年8月20日)
さまざまな病型の血液がんを含む610例の患者由来のDNA試料について、高速シーケンサーを用いた解析を実施。その結果、さまざまな病型の血液がんで変異がみられ、MDSの8%、CMMLで10%、AMLで12%、CMLでは6%に遺伝子変異が生じていることを確認したという。他にも、正常なコヒーシン遺伝子を補うと、白血病細胞の異常増殖を抑えられたことから、正常なコヒーシン遺伝子は、がん抑制遺伝子として働いていると考えられるそうです。
※参照ページ
- 京大など、骨髄性白血病などの血液がんの原因となる遺伝子異常を発見 | マイナビニュース
- 白血病・骨髄異形成症候群(血液がんの一種)の原因遺伝子異常を発見-「コヒーシン」の異常が発症に重要- — 京都大学
- つなごう医療 中日メディカルサイト | 白血病抑える遺伝子 京大などのチームが発見
まとめ
いろいろ出てきてはいますが、決定打となるようなものはまだ無さそうな印象です。変異が見られた割合が10%とか20%というのは、多いのやら少ないのやら。白血病と一言で言っても、細かいところではいろいろなバリエーションがあるということですね。それが根本的治療法のない現状につながっているのかもしれません。
地道に探していくしかない感じですね。
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