2012年12月14日

iPS細胞から血小板をつくって輸血する時代が来るかも


山中教授のノーベル賞受賞で話題になった、iPS細胞についてのニュースが目に留まったので紹介します。

アメリカの企業が、iPS細胞から作った血小板を輸血する臨床試験を実施しようとしているというニュースです。ヒトを対象にした初の臨床試験になるようです。
米マサチューセッツ州のバイオテクノロジー企業は、成熟細胞をリプログラミング(初期化)することによって胚のような状態にまで戻した幹細胞(人工多能性幹細胞=iPS細胞)を使った臨床試験を行うため、14日にも規制当局への申請手続きを開始すると発表した。専門家はこれがiPS細胞を使った初のヒトを対象にした臨床試験になると述べている。
iPS細胞の血小板臨床試験、申請手続きへ−米バイオ企業、初のヒト対象 - WSJ.com
入院中は輸血にたいへん助けられたので、こういう話題は気になります。

iPS細胞から作った血小板を輸血に使えるメリット

素人なりに考えてみると、次の2点が大きいと思います。

血液不足を補える

現状、輸血に使う血液は献血によってまかなわれています。これは完全に善意に頼っているもので、その量はコントロールできません。街中の呼びかけを聞く限り、不足していることが多いのではないでしょうか。

そこで血液を人工的に作れるようになれば、その不足を補うことができます。

副作用のリスクを抑える

他の人の血液を使った輸血では、免疫反応のリスクがありますが、自分の細胞を使ったiPS細胞から作った血小板なら、理論上は自分の細胞なので、副作用のリスクは低くなります。

まだこれから、でも進歩し続ける

山中教授が「折り返し地点」と言うように、技術、安全性、コスト、倫理など、解決しないといけない課題は、まだまだたくさんあると思います。

でもいよいよヒトへの臨床が始まりそうということで、医療の現場にiPS細胞が使われるのが、そんなに遠い未来ではないかもと期待したくもなります。

いつの日か、iPS細胞から作った血小板や赤血球が、輸血に使われるのが当たり前の時代が来るのかもしれません。

こういうニュースを聞いていると、簡単にあきらめてはいけないなと改めて思います。医療の進歩は日進月歩。今日ダメなものが、明日にはできるかもしれません。

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