2012年9月、造血幹細胞移植を促進するための「造血幹細胞移植推進法(正式名:移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律)」が国会で成立しました。これ、つい最近知りました(^ ^;)
背景
造血幹細胞移植を必要とする血液疾患の患者の数は、年々増加傾向にあります。今後も増加が見込まれる造血幹細胞移植を実施するに当たり、骨髄バンク、さい帯血バンクの業務が適切に行われるための法整備が求められていました。また、両バンクとも財政的に不安定であることから、造血幹細胞を適切に提供できる安定した財政基盤を作ることが望まれていました。
国のお墨付き
造血幹細胞移植推進法では、国が造血幹細胞移植についての基本理念を明らかにすることで、国の立場と責任を明確にしています。造血幹細胞の斡旋・供給事業は、国の許可が必要となります。許可を受けた事業者に対して、国が補助できる規定も設けられています。
この法律によって、骨髄バンクやさい帯血バンクの体制が整備されることで、造血幹細胞の適切な提供や、造血幹細胞移植の円滑かつ適正な実施が期待されます。
さい帯血の研究利用が可能に
この法律では、さい帯血供給業務に支障のない範囲内での、さい帯血の研究目的での使用が可能になっています。さい帯血からは、良質なiPS細胞が効果的に作られることが分かっています。しかしこれまで、さい帯血を移植以外の目的に利用するための法的根拠がなく、10年以上経って古くなったさい帯血は捨てられていたそうです。
法律で研究利用が可能になることで、これまで処分されていたさい帯血をiPS細胞として蘇らせ、再生医療の研究に役立てることができます。
雑感
そもそも、これまで法的な位置付けがなかったというのが驚きでした。成立しただけで施行はまだのようなので、具体的な動きはこれからになるのだと思います。
国の後押しも加えて、より良い移植体制となっていくといいですね。
参照
骨髄バンクニュース Vol.41 2012年12月5日号(PDF)移植に用いる造血幹細胞の適切な提供の推進に関する法律
詳細を投げてしまうようでなんですが、下のリンクの説明が分かりやすいです。
公的骨髄バンクを支援する東京の会「東京の会通信」No.249 2013年7月1日号(PDF)
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