2015年1月29日

日本骨髄バンクが京都大学のiPS細胞ストックに協力


日本骨髄バンクが、京都大学iPS細胞研究所が行う「医療用iPS細胞ストック構築に関する研究」に協力することになりました。

iPS細胞ストックとは

iPS細胞ストックとは次のようなものです。
拒絶反応が起きにくいHLA型の組み合わせ(HLAホモ接合体)を持つ健康なボランティアの方の 血液などから、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)において、医療用iPS細胞を作製し、保存する計画です。予めストックする事により、品質の保証されたiPS細胞を国内外の医療機関や研究機関に迅速に提供する事を目的としています。

日本骨髄バンク | 「医療用iPS細胞ストック構築に関する研究」への協力に関するQ&A集
近い将来にiPS細胞技術を医療に応用するための基盤となる研究です。

協力内容

協力の内容としては、これまでに骨髄バンクで骨髄・末梢血幹細胞を提供したドナーのうち、拒絶反応が起きにくいHLA型の組み合わせ(HLA型ホモ接合体)を持つドナーのiPS細胞を作製するというものになります。

まずは日本人に多く見られるHLA型ホモ接合体のドナーから数名の方に協力してもらい、iPS細胞を作製します。
日本人で1番多い頻度のHLAホモ接合体のiPS細胞が1つあれば、日本人の約20% に対して拒絶反応が起きにくい細胞移植治療が提供可能となります。統計上、異なる75種のHLAホモ接合体ドナーからiPS細胞を作製する事で、日本人の約80% をカバ-することができます。

まだ、でも遠くはない

iPS細胞ストックの計画は次のようになっています。
短期目標として平成29年度までに、拒絶反応を起こしにくいHLA型5~10種類のiPS細胞を作製する事を目指します。これにより、日本人の30~50%に拒絶反応の少ない細胞移植が可能です。長期目標としては、平成34年度までに75~150種類のiPS細胞を作製する事を目指しますが、これにより日本人の80~90%に拒絶反応の少ない細胞移植が可能になります。
そしてiPS細胞ストックを利用した研究成果が医療現場で使われるまでには、もう少し時間がかかるようです。
平成29年度までにこのiPS細胞ストックを使用した臨床研究または臨床試験開始する事を目標としています。そこから、治療法として確立するためには、移植しても安全であることや、治療に有効であることを文書にまとめて国へ申請する必要があります。
申請が認められるまでに数年はかかりますので、医療機関などで治療に用いられるにはおおよそ10年はかかると予想されます。
今すぐということはありませんが、遠い未来ということでもなさそうです。着実に研究が進んでほしいところです。

参照

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