今回紹介する本は、人が持つエネルギー製造システムの観点から、ガンなどの病気になる仕組みを解説し、病気にならないための生き方を提案する一冊です。著者は免疫に関する本を数多く出している安保徹氏です。
ガンになる条件
本のタイトルにあるガンになる条件をさっそく言ってしまうと、それは「低酸素・低体温」です。低酸素・低体温の状態はガン細胞にとって適した環境であり、それが継続するとガン細胞がどんどん増殖してしまいます。先日紹介した『体温を上げると健康になる』でも低体温は万病の元と言っており、やはり低体温はろくなものではないようです。
そして、この本では低酸素・低体温によるガン増殖は、人が本来持つ機能によって体がその人の環境に適応した結果であると言います。
2つのエネルギー工場
人には「解糖系」と「ミトコンドリア系」という2つのエネルギー製造システムが備わっており、お互いがバランスを取っています。「解糖系」は糖質を分解してエネルギーを作り出すシステムで、瞬発性・即効性に優れ、酸素の少ない環境で活性化します。全力で走るなどの無酸素運動では解糖系で作られたエネルギーが使われます。
「ミトコンドリア系」は解糖系で分解された栄養素や酸素などを使ってエネルギーを生み出します。こちらは生み出せるエネルギーが大きく、持久力に優れています。マラソンのような有酸素運動で使われます。
ガンが増える仕組み
人はストレスがかかると、交感神経やホルモンのはたらきによって血管が収縮し血流が低下します。これはストレスに対処するために瞬発性・即効性のある解糖系を使いたいので、血流を低下させることで体に回る酸素を少なくしているのです。この仕組み自体はストレスに対する自然なはたらきなのですが、ストレスが続くと血流低下による低酸素・低体温の状態が日常化してしまいます。ガン細胞は低体温で活性化し解糖系の仕組みで増えるため、その状態ではガン細胞が次々に増えてしまいます。
このように、ガンが増えるのはストレス過多という危機に対する適応現象であり、体の自然な機能なのです。
低酸素・低体温から抜け出すには
しかし、ガンが適応現象だからと言って、放っておけば死に近づいていきます。では低酸素・低体温から抜け出し健康な生活を送るにはどうしたらいいのでしょうか。著者はまず心の不安やストレスに目を向けて、偏った生き方を変えようと言います。
ストレスそのものが悪なのではありません。時には頑張ってストレスに向かっていかなければならない時もあります。いけないのは頑張りすぎてストレスをかけ続けること。
頑張る時は精一杯頑張る。 休む時はしっかり休む、しっかり遊ぶ。そのオンとオフの切り替えが重要になります。
他には、食事や運動習慣の改善も挙げています。ただし、食事などを気にしすぎてストレスに感じてしまったら元も子もないので、まずは生き方・考え方を変えることが優先だとしています。
バランスが大事
人の体は解糖系・ミトコンドリア系、交感神経・副交感神経など、絶妙なバランスで成り立っています。どちらが良いか悪いかではなく、それぞれを偏らせずバランスの取れた生き方をすることが、ガンなどの病気の予防になり、健康の秘訣となりそうです。体の仕組みを知り、それに合った生き方をするという考え方は非常に参考になりました。ただ、現代医療をいろいろばっさり否定しており、なるほどと思うところもあれば、現代医療によって生き延びることができた私としては複雑な気持ちになるところもありました。
確かに手術・抗がん剤・放射線の三大療法が対症療法であるというのはそのとおりだと思います。なので予防としてガンにならない生き方をすることは重要です。しかし、それでも病気になることはあるわけで、その時は対症療法でいいので病状を良くして、その上でガンにならない生き方を実践すればいいと考えます。
ここでもそれこそバランスが重要で、一方がすべて正しく一方はすべて間違っているということはないと思います。どれかに偏らず考え方や選択肢の一つとして考えて、良いところを取り入れていけばいいのだと思います。
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